1931年製の大変珍しいGibson L-1です。Gibsonフラットトップのスモールを代表する、L-1からL-00へと変化していく過渡期につくられた、両ギターの特徴を兼ね備えた仕様となっています。
ボディサイズは14.75インチで、後のL-00と同じですが、ネックジョイントは12フレットでされており、これはボディサイズ13.5インチのL-1と同じです。
1930年〜1932年には、このL-1と同じ仕様でL-0もつくられていますが、L-0はオールマホガニーでナチュラル仕上げなのに対し、L-1はサイド・バックがマホガニー、トップはスプルースでステインシェイデッド仕上げとなっております。
このL-1は、歴代の所有者によってサンバースト塗装され、ピックガードを取り付けた形跡があり、これは後のL-00の仕様に近づけたかった意図が読み取れます。
また、サイド・バックに所々、割れを補修した痕が残っております。補修も改装もかなり昔に行われたようで、それから長い年月が経過することによって、こうした痕も景色の一部となって、凄みを感じさせる味が出ております。
ヘッドにはtheのないスクリプトロゴが印刷されておりますが、このロゴ変更は1932年から行われているため、おそらく1931年後期につくられたプロトタイプか、ごくわずかなロッドでつくられた1本ではないかと思われます。
音は、13.5インチのL-1と14.75インチのL-00の中間のようなサウンドですが、12フレットジョイントの14.75インチサイズという、このギターならではの持ち味も感じさせてくれる出音です。もちろんプリウォーらしい枯れたサウンドも出ており、音を鳴らした瞬間に戦前のカラマズーの空気に変わります。
ヴィンテージスモールギブソンの歴史の一端が垣間みられる、非常に珍しい貴重な1本で、博物館に展示されてもおかしくないようなギターです。
製造年:1931年
程 度:G
トップ:スプルース
サイド:マホガニー
バック:マホガニー
ネック:マホガニー
指 板:ローズウッド
付属品:汎用チップボードケース
価 格:220,000円